第19回 『胃食道逆流症』

 胃食道逆流症は胃酸が食道内に逆流することによって、胸やけなど様々な症状を起こし、不快のため睡眠、仕事、食事に障害をきたす病気です。食道下部には括約部があり逆流を防止していますが、この機能が低下したり、胃酸分泌が亢進した時に症状が出現します。

原因

 日本での胃食道逆流症は高齢女性に多くみられます。これは前かがみの姿勢のため、腹圧が高まり胃が押し上げられる食道裂孔ヘルニアの合併が多く、逆流しやすいためです。
 食事内容では脂肪を摂るとコレシストキニンが分泌され、食道下部括約部の圧を低下させ、胃から食物の排出を遅らせます。そのため胃内容物が逆流しやすくなります。
 薬剤では高血圧や喘息の治療薬、消炎鎮痛剤でも悪化することがあり、注意が必要です。

症状

 症状は胸やけなど食道の刺激症状ですが、その他様々な症状が出現します。のどの違和感、かすれ声。胸痛はちくちくする感じ、しめつけられる感じとも表現されるため、心疾患の症状とも似ています。慢性の咳、喘鳴と喘息様症状も出現します。

検査、診断

 内視鏡で確認しますが、簡便には胃酸分泌抑制薬の試験的投与がよく行われます。胸痛の患者では心疾患かどうかを心電図X線などの検査を行い判断します。喘息と胃食道逆流症は合併していることがあり、診断が難しいこともあります。

ヘリコバクターピロリ菌感染症

 近年ヘリコバクターピロリ菌が胃、十二指腸潰瘍の原因となることが明らかになり、抗生物質による除菌が行われるようになりました。ヘリコバクターピロリ菌は萎縮性胃炎を起こし胃酸分泌能を低下させます。除菌後に胃酸分泌能が改善するなどのため、逆流症状が増悪することがあり問題となっています。

治療

 一般的治療として暴飲暴食をしない、脂肪摂取を減らす、肥満を改善させる、腹部を圧迫しない服装をする、前かがみ姿勢での作業を避けるなどの注意が有効です。薬剤治療として胃酸分泌抑制薬が用いられます。胃食道逆流症は治療を中止すると再発しやすい慢性疾患で、維持療法が必要です。

 これまで日本人の胃酸分泌能は欧米人に比べて低いとされており、胃食道逆流症はあまり問題にされていませんでした。しかし最近では高齢化や食生活の欧米化、ヘリコバクターピロリ菌感染率の低下などにより患者数が増加しています。治療効果も向上していますので、胸やけなど自覚症状のある方は受診をおすすめします。

一覧へ戻る