第17回 インフルエンザ予防接種

 インフルエンザは毎年流行して、日本人の5-10%がかかります。その医療費だけでも1年に2千億円以上と計算され、社会経済的影響はさらにその数倍と推定されます。
 インフルエンザの病原体ウィルスは、感染した人の咳やくしゃみで空気中にばらまかれ、周囲の人に感染します。抵抗力が弱い人には特に感染しやすく、重症になりやすいので、ワクチンなどによって感染を予防することが大切です。

ワクチンの効果

 健康な成人でワクチンを受けた場合、約70%で、インフルエンザの発症を抑えることができるとされています。また発症しても重症化するのを抑える効果があります。

インフルエンザの型

 インフルエンザウィルスにはA香港型、Aソ連型、B型の3種類があります。また同じ型の中でも、毎年抗原性を変えて流行します。ワクチンは毎年接種しましょう。わが国ではWHOの流行情報および日本国内の情報から、次シーズンの流行を予想し、予防接種のワクチン株を決めています。ワクチンには3種類の型が含まれており、どの型が流行しても対応できます。

ワクチンの接種時期

 インフルエンザワクチンは接種してから効果が現れるまで、約2週間かかります。また接種したワクチンの効果が持続するのは、約5ヶ月間といわれています。インフルエンザは12月頃から翌年の3月頃にかけて流行しますので、流行が始まる前、11月までにはワクチンを接種しておきましょう。もしこの期間内に接種できなかったとしても、年内に接種すれば、予防効果が期待できます。

ワクチンを接種すべきハイリスク群

 以下のような人達はインフルエンザに対して抵抗力が弱く、感染すると重症化したり気管支炎、肺炎などの合併症を起こす可能性が高く、ハイリスク群とよびます。

  1)65歳以上の高齢者。インフルエンザによる死亡の7割以上は高齢者です。
  2)妊娠28週以降の妊婦。
  3)喘息、呼吸不全などの慢性呼吸器疾患、心臓弁膜症、心不全などの心疾患の方。
  4)糖尿病などの慢性代謝性疾患、腎不全、透析中などの腎疾患の方。
  5)養護施設、療養施設の入居者。
  6)3歳以下の乳幼児。痙攣や脳症を併発することがあります。

 以上のような人はワクチン接種を受けましょう。またハイリスク群の家族や、仕事で接する職員も、予防と、かかった場合の早めの処置が必要です。

 予防接種の費用は施設によって決まっていますが、65歳以上の方は札幌市から補助が出ますので、内科でご確認下さい。今年の冬は予防接種と手洗いうがいで、インフルエンザにかからないように注意しましょう。

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