第14回 慢性頭痛

 頭痛には、くも膜下出血や脳浮腫などの病気に伴う二次性頭痛と、脳に器質的病変がない、慢性一次性頭痛があります。慢性一次性頭痛には片頭痛、緊張型頭痛などがあり、日本成人の有病率は、片頭痛が10%前後、緊張型頭痛が20%前後です。

片頭痛

 片頭痛はずきんずきんする、拍動性の発作性頭痛です。頭部の片側に起こり、一度起こると数時間から数日間続きます。症状は運動やストレスによって増強します。光、音やにおいに過敏になったり、吐気を伴うことがあります。発作の前兆として視覚障害がみられることがあり、きらきらする星や稲妻のようなギザギザが特徴的ですが、その他にも脱力、感覚障害、言語障害などがみられることもあります。
 発症機序は外部からの刺激によって、脳血管周囲の神経に炎症が起こり、血管が拡張するためと考えられています。
 発作時には患部を冷やし、静かな暗い部屋で休みましょう。治療薬は軽症例には消炎鎮痛剤、中等症以上ではトリプタン系薬剤が使用されます。

緊張型頭痛

 緊張型頭痛では頭部の両側に、締め付けるような重い痛みを長期間感じます。片頭痛と違って、拍動性ではなく、吐気や感覚過敏症は伴いません。
 発症機序は頭の外側や首、肩の筋肉が緊張するためです。一定の姿勢で作業を続ける、乗り物で窮屈な状態を長時間続けるなど、筋肉が硬直することが原因です。また心理的社会的ストレス、不安、うつ状態も増悪因子となります。
 予防法として、長時間仕事を続ける場合には、背伸びやストレッチングをして、筋肉の緊張をほぐしましょう。治療薬は補助的に消炎鎮痛剤、筋弛緩薬、抗うつ薬などが用いられます。

群発頭痛

 群発頭痛は頻度は低いですが、若い男性に多くみられます。群発期にはじっとしていられないような、激烈な痛みがほとんど毎日みられます。片頭痛のような拍動性ではなく、持続性で眼球をえぐられるような痛みが夜間に起こります。
 発作時には酸素吸入、トリプタン系薬剤注射などが行われます。

混合型頭痛

 片頭痛、緊張型頭痛の両方の特徴を併せ持つタイプです。

 近年、片頭痛と混合型頭痛の患者さんが増えていますが、医療機関で診療を受けている患者さんは少ないようです。頭痛には脳腫瘍などの重篤な病気もあるため、今までにない頭痛の場合は、内科や脳外科などで診察を受けましょう。

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