慢性閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎など)の治療においては、薬物療法のみに止まらず、肺理学療法、酸素療法、運動療法、禁煙指導などを同時に行う事が大切です。これらはまとめて包括的呼吸リハビリテーションとよばれます。WHO(世界保健機関)から提唱された、慢性閉塞性肺疾患治療に関する国際的なガイドライン(GOLD, Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease)でも包括的呼吸リハビリテーションの重要性が指摘されています。
肺気腫や慢性気管支炎の患者さんでは、体を動かした時に息切れがします。低下した肺の機能を十分に活用するために効率の良い呼吸法が必要となります。今回は肺理学療法の中の呼吸訓練法である「口すぼめ呼吸」と「腹式呼吸」をご紹介します。
第6回 呼吸訓練法
口すぼめ呼吸
息を吐き出す時に口をすぼめて抵抗を与えます。
この方法は空気の通り道である気道を広げる作用があります。
1)リラックスして鼻から息を吸い込みます。
2)口笛を吹くように口をすぼめます。
3)吸った時の2倍の時間をかけてゆっくりと息を吐き出します。
腹式呼吸
呼吸時に胸よりも横隔膜を多く動かすようにする方法です。
1)仰向けに寝て膝を軽く曲げて下さい。
2)一方の手で胸を、他方の手でおなかを抑えます。
3)鼻から息を吸いながら、抑えている手に逆らって、おなかを膨らませます。
4)ゆっくりと息を吐きながら、おなかをへこませます。
5)吸う時も吐く時も、できるだけ胸が上下しないように注意してください。
慣れてきたら、座ったり、立った状態でしてみましょう。
練習は1日2-3回、10分間位から始めて、少しづつ回数、時間を増やしていきます。これらによって、呼吸の量をコントロールし、呼吸パターンを正常に近づけることができます。その結果酸素消費量が減少し、呼吸が楽になります。初めはなかなかうまく出来ないかもしれませんが、練習を続けることで効果が現れてきます。
呼吸リハビリテーションにはこれ以外にも酸素療法、運動療法、禁煙指導などがあり、患者さんの病状に合わせて、実施しております。呼吸器科でご相談下さい。