肺気腫、慢性気管支炎など、慢性閉塞性肺疾患の症状は咳、痰、呼吸困難です。タバコのせいで咳や痰がでる、歩く時は同年代の人と同じペースではつらい、階段の途中で休むなどの症状です。診断には呼吸機能検査を行います。最大限に息を吸って、思い切り吐いた時の量によって診断します。
慢性閉塞性肺疾患はゆっくり進行する病気です。一度障害された肺の機能は回復しませんが、早期発見、早期治療、包括的呼吸リハビリテーションによって生活の質を維持、向上させることができます。日常生活では以下の注意が必要です。
第26回 慢性閉塞性肺疾患の日常生活上の注意
1.十分な栄養を摂りましょう
慢性閉塞性肺疾患の患者さんは機能低下した肺をカバーするため、呼吸筋を一生懸命動かすので、健康な人よりも呼吸に多くのエネルギーを消費します。
しかし患者さんは息切れのため食欲がなかったり、特に肺気腫では肺が膨張して、胃を圧迫するため食事量が少なくなりがちです。十分なカロリーを摂りにくく体重が減って、リハビリをする気力もなくなります。その結果体力が衰え、息切れが強くなります。
一度に食べられない時には、1日3回の食事に2回の間食を加えるなど、食事の回数を増やして少しずつ食べるようにしましょう。高エネルギー、高たんぱく質、高ビタミンの食事を摂るようにしましょう。
慢性気管支炎患者さんは水分を摂ると痰がでやすくなり、気管の衛生を保てます。水を飲むとむせやすい場合は野菜ジュースなど濃度の濃い飲物を飲みましょう。ただし重症で心不全を合併している方は主治医に相談して下さい。
2.カゼをひかないようにしましょう
慢性閉塞性肺疾患の患者さんはカゼなどの感染症に対する抵抗力が低下しています。カゼをひくと肺炎を合併しやすいため、急激に症状が悪化します。インフルエンザの季節には予防接種を受けて、手洗い、うがいなど予防対策を忘れないようにしましょう。一度急性増悪を起こすと症状が改善した後でも、呼吸機能は増悪発症前までには回復しません。重症化して、慢性呼吸不全へと進行しないよう注意しましょう。肺炎球菌ワクチンも接種しましょう。65歳時には札幌市からの補助もあります。
3.運動をしましょう
慢性閉塞性肺疾患では呼吸困難が増強しやすいので、歩行などの軽い運動を時間をかけて行いましょう。食欲が増し、免疫力も増強します。特に上半身の運動は呼吸筋を鍛える効果もあり、呼吸が楽になります。生活の質の改善に有効です。
慢性閉塞性肺疾患では軽症の場合、自覚症状をあまり感じないことがあります。タバコを長く吸っているなどリスクがある人は、健康診断などで、検査を受けるとよいでしょう。さらに呼吸器科で診断を受けること、タバコの害について正しい知識をもつことが大切です。