1日1箱タバコを吸うと1年間で、約400円X1箱X365日で、15万円前後かかります。10年間で150万円の支出となります。
喫煙者の70%は禁煙したいと思っています。それでもタバコがやめられないのは、ニコチンへの渇望という身体的依存があるためです。また体重を減らす効果があるから、ストレスを解消するためなど、精神的な支えとしてタバコを吸う習慣、心理的依存もタバコをやめにくくする原因です。
第21回 禁煙方法
禁煙方法
禁煙を困難にしている、タバコを吸いたい、イライラなどの離脱症状に対し、禁煙補助薬を使って、症状を軽減します。ただしこれだけで禁煙ができるわけではありません。離脱症状を軽減している間に、喫煙習慣に代わる新しい生活習慣を身につけて、禁煙を確実にすることが大切です。
また心臓病の人、脳卒中を起こしたことがある人、妊娠、授乳中の人、病気で薬をのんでいる人は、開始時に呼吸器科医にお伝え下さい。
禁煙補助薬
1)内服薬、バレニクリン、チャンピックス
チャンピックスは、脳にあるニコチン受容体に結合して、タバコからのニコチンが受容体に結合するのを阻止します。もし禁煙中に一服してしまっても、タバコのおいしさを感じにくくします。また受容体から、少量のドパミンを放出し、喫煙時の快感をもたらすため、ニコチン切れ症状を軽減します。この薬では腹部症状などの、副作用がみられることがあるため、初め少量から開始し、少しずつ増量します。のみ始め1週間は、タバコの本数を減らしていき、2週目から禁煙します。合計12週間かけて禁煙します。この方法で、これまでの禁煙成功率は、9カ月後時点で50%でした。
2)ニコチン置換療法
タバコ以外からニコチンを補充することによって症状を軽減し、禁煙を容易にする治療法です。ニコチン貼付薬とニコチンガムの2種類が使用できます。ニコチン貼付薬を使った禁煙スケジュールでは、禁煙開始から4週間、貼付薬(大)を毎日1枚体に貼り、離脱症状を軽減します。その後貼付薬(中)を2週間、次に貼付薬(小)を2週間と、補充するニコチンの量を徐々に減らし、順調に禁煙が続けば、8週間で終了します。
ニコチン貼付薬を使用して禁煙指導を受けた場合、貼付終了から6ヵ月後に禁煙を維持していたのは、113人中70人、62%でした。一方禁煙指導を受けずに、ニコチン貼付薬のみを使用した場合は、32人中14人、44%と、禁煙指導の効果が、成功率の高さに表れています。
副作用では皮膚の発赤、痒みがありますが、毎日貼る場所を変える、皮膚を伸ばしてしわにならないように貼るなどの方法が有効です。
ニコチン離脱症状と対処法
1)タバコが吸いたい時…水を飲む。深呼吸をする。ガムをかむ。
2)イライラ、落ち着かない時…音楽をきくなど自分がリラックスできることをする。仕事は減らす。
3)体がだるい時…軽い運動をする。睡眠を十分にとる。
環境改善法
喫煙を再開するきっかけを避けるために次のような注意が必要です。
1)喫煙具をすべて処分する。
2)喫煙コーナー、酒の席、喫茶店などタバコが吸いたくなる場所を避ける。
3)仕事や対人関係のストレスをへらす。
4)脂っこい料理を避ける。食後に歯をみがく。
5)喫煙行動を記録し、どんな時に吸いたくなるかを知り、対策を決めておきましょう。
禁煙継続のための6つのこつ
禁煙に成功した人達はこのようなアドバイスをしています。
1)タバコの害について具体的なイメージをもつ。
2)禁煙しようと思い立った理由を思い浮かべる。
3)体調が良くなった、タバコ代がかからなくなったなど禁煙してよかったことを考える。
4)禁煙できたことに自信をもつ。
5)まわりの人にも禁煙をすすめる。
6)禁煙に成功した人は、平均3~4回の禁煙チャレンジを経験しています。
禁煙が成功するまでネバーギブアップです。
禁煙は本人の強い意志と支援する外来スタッフ、禁煙補助薬の3つがそろった時に最も成功しやすくなります。禁煙開始日は仕事や時間的にゆとりのある時、誕生日や記念日など特別な日にすると良いでしょう。禁煙を思いたったら一人で始めないで、呼吸器科を受診し、禁煙外来指導を受け、禁煙を成功させましょう。