第1回 花粉症とOral allergy syndrome

Oral allergy syndrome

 シラカバ花粉症の患者さんでは、リンゴを食べると口やのどがピリピリしたり、腫れるなどの症状が出現することがあります。これはリンゴが、シラカバ花粉の主要抗原Bet v1と共通抗原を持つために、リンゴを食べた時に、口やのどでアレルギー反応を起こすためです。これをOral allergy syndromeとよびます。
 Oral allergy syndromeは、シラカバ花粉症によるものが最多ですが、それ以外ではカモガヤ、ヨモギなどの花粉でもこのような症状が出現することがあります。これに関係する果物では、シラカバ花粉症でみられるバラ科植物のほかキウイ、メロン、カキ、スイカ、トマト、バナナ、ミカン、パインなど数多くのものが知られています。
 症状は軽いことが多いですが、時には鼻炎、蕁麻疹、咽喉頭浮腫による呼吸困難、アナフィラキシーショックなどの全身症状を呈することもあります。
 このアレルギーは、上記以外にも果物、野菜、ナッツなど多くの食物でみられる事がわかってきて、最近ではPollen-food syndromeと呼ばれるようになりました。

シラカバ花粉症との関係

 特異的IgE抗体を持つ、シラカバアレルギーの患者さんでは、約半分にこのような症状がみられたという調査結果があります。シラカバアレルギーの患者さんではリンゴ、モモ、サクランボ等のバラ科植物の果物で高率に症状が出現します。

 アレルギーはある季節にのみ症状が出現する場合もありますが、経年変化により、症状が自然に良くなったり、悪くなったりすることがよくあります。アレルギー症状の出現のしかたは患者さんによって様々です。

 

 アレルギーは全身性疾患ですので、Oral allergy syndromeのように一見関係がない症状のようで、実は因果関係のある場合もあります。一度正確な診断をうけて、それに対する予防法や治療法を理解しておくことが大切です。

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