第13回 脂質異常症のタイプ別食事療法

 脂質異常症はコレステロールと中性脂肪の値によって、いつくかのタイプに分かれます。食事療法も単に脂肪分を減らすというのではなく、タイプに合わせて行うことで、効果を高めることができます。

コレステロール値が高いとき(IIa型)

 総コレステロールの増加、悪玉(LDL)コレステロールの増加がみられるタイプです。このうち家族性高コレステロール血症はアキレス腱の肥厚、皮膚の黄色腫を伴う先天性代謝異常で、若年でも虚血性心疾患を起こすことがあります。
 食事療法では卵類、レバー、肉類などコレステロールが多い食物と動物性脂肪を制限します。一方食物繊維の多い食物、背の青い魚、豆類はコレステロール値を下げますので十分にとりましょう。
 また高HDL血症は善玉(HDL)コレステロールの増加がみられるタイプです。コレステロール値は高値でも動脈硬化は進展しませんので治療は不要です。

中性脂肪値が高いとき(I型)

 腸管から吸収された中性脂肪に富む、カイロミクロンというリポ蛋白が増加しているタイプです。過食や脂っこい料理を好み、食事からの脂肪摂取量が多い人にみられるタイプです。
 食事療法では脂肪分の多い肉類など、脂肪の摂取量をへらすことが大切です。一方野菜、海藻、きのこなど食物繊維の多い食物は、腸管からの脂肪の吸収を抑制しますので有効です。

中性脂肪値が高いとき(IV型)

 肝臓で合成された内因性の中性脂肪を多く含む、VLDLというリポ蛋白が増加しているタイプです。善玉(HDL)コレステロールが減少ぎみで、糖質の摂取量が多い人にみられるタイプです。
 食事療法では摂取エネルギーの制限が大切です。特にお菓子や飲み物の糖分過剰摂取に注意しましょう。アルコールは中性脂肪に合成されやすいので、禁酒によって中性脂肪値を下げることができます。
 中性脂肪値が上昇すると急性膵炎を引き起こすことがあります。特に糖尿病の合併とアルコールが、急性膵炎発症の危険因子です。速やかに治療する必要があります。

コレステロールと中性脂肪がともに高いとき(IIb型)

 総コレステロールと中性脂肪の両方が増加しているタイプで、糖尿病や肥満の方に多くみられるタイプです。
 食事療法では、コレステロールと中性脂肪両方の治療が必要です。まず摂取エネルギー量を制限し、肥満があれば減量が必要です。このタイプはコレステロールだけが高いタイプよりも、動脈硬化の進展が著明です。診断されたら、最も積極的に治療をする必要があります。

 脂質異常症の治療には、食事療法のほかに運動療法、薬物療法があります。これらの治療により、コレステロールや中性脂肪値を低下させれば、虚血性心疾患や脳卒中の発症率を下げることができます。
 健康診断などで自分のタイプを知り、効果的な食事療法を行いましょう。詳しくは、内科でお尋ねください。

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