第6回 アスベスト、石綿

 最近アスベスト被害についての報道が増えています。アスベストは珪酸塩の細かい繊維状の結晶で、せきめん、いしわたと呼ばれます。アスベストは防音性や断熱性に優れ、規制される以前は建物や乗り物などに広く使用されていました。
 アスベストを吸入するのは採鉱従業員や、石綿製品、ボイラー、耐火物、車のブレーキ、クラッチの製造、建築工事、配管工事、電気工事関係者です。建物の解体や建築廃材の処理場では作業員のみならず、近くの住民や通勤途中でも暴露されることがあります。またアスベスト作業従事者の衣服を介して、家族にも被害が及ぶこともあります。
 アスベスト吸入によって起こる呼吸器疾患には、間質性肺炎を示す石綿肺の他、胸膜肥厚斑、最近問題となっている胸膜中皮腫があります。また喫煙者では肺癌の合併率が高く、一般男性非喫煙者の50倍の頻度です。胸膜中皮腫、肺癌ともアスベスト暴露後15-20年と時間がたってから発症しますので、定期的な健康診断が必要です。

一覧へ戻る