認知症痴呆の予防治療

ボケすなわち老人性痴呆は記憶障害を中心とした知的機能の低下です。日本は高齢化時代に入り、痴呆老人の数は160万人と言われています。
最近この病気は認知症と呼ばれるようになりました。

認知症の原因

認知症の原因にはアルツハイマー病、脳血管性痴呆などがあります。
アルツハイマー病は物忘れや日付がわからない、道に迷うなどの症状で発症します。MRI検査で、びまん性の脳萎縮がみられます。脳血管性痴呆は脳卒中を繰り返すか、かくれ脳梗塞とよばれる小病変が潜在性に進行して発症します。MRI検査で多発性の脳梗塞がみられます。

認知症の症状

以下の10症状のうち4個以上あてはまれば軽症の認知症と考えられます。

  1. 無表情・無感動の傾向が見られる。
  2. ぼんやりしていることが多い。
  3. 生きがいがない。
  4. 根気がないか、続かない。
  5. 発想が乏しく画一的になる。
  6. 今日一日の計画が立てられない。
  7. 反応が遅く、動作がもたもたしている。
  8. 仕事をてきぱきと片づけられない。
  9. 同じことを繰り返し話したり、尋ねたりする。
  10. 相手の意見を聞かない。

ボケないための日常生活の心得

以下のような活動を通じて、脳に刺激を与えましょう。

  1. いつも新しい知識を求めよう。
  2. 一生続けられる趣味を持とう。
  3. 歌、楽器やダンスを楽しもう。
  4. デパート巡りはボケ予防に効果的です。交通機関を利用して、売場を眺めよう。
  5. 天気のいい日は散歩をしよう。
  6. 外出時はおしゃれを心がけよう。
  7. 積極的に友達と会おう。
  8. 男性も台所に立ち、手を動かそう。
  9. 肩書きにこだわらない生き方をしよう。

治療

薬物治療ではコリンエステラーゼ阻害薬、脳代謝改善剤、抗精神病薬、抗うつ薬、催眠薬などが病状に合わせて使用されます。脳血管性痴呆の大半は高血圧、糖尿病、高脂血症、心房細動など脳卒中の基礎疾患を持っています。基礎疾患の管理が痴呆の進行を抑えるために大切です。また十分に睡眠をとり、昼は活動的な生活をするようにしましょう。
アルツハイマー型痴呆など脳の変性に関与するビタミンとして、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸などがあります。これらは魚介類に多く含まれていますので十分に摂りましょう。アルコールに関しては、少量の日本酒かワインをたしなむ人にボケは少ないといわれています。

老人のいる家庭では認知症を早期に発見して、進行予防のため適切な処置を受けさせることが大切です。痴呆老人の介護をする家族の負担は大変です。デイケア施設などで他人と接触したり、脳活性化治療を受けることも有用です。